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現代ムスリム女性のインサイトをついた商品開発事例

こんにちわ。

ムスリムマーケターの竹村です。

いよいよ、2014年(イスラム暦1478年)のラマダン
が今月(6月)の28日から1ヶ月間にわたり
始まります。

ラマダンに関しては、また今度お話をしますが、イスラム教徒
の方、イスラム教にとってのアイコンとも言える一大イベント
です。

今回は、この一大イベントに向けて開発された商品の戦略が
ものすごくシンプルなんだけども、ウイットに富んでいる
と1人で興奮してしまったため、個人的な見解も含めてご紹介
したいと思います。

商品開発は、潜在するニーズを理解し開発するタイプと、ニーズ
として認識されていないウォンツを捉え開発する二つの戦略へ、
大きく分けられると思います。

今回は、後者のウォンツを捉え、恐らくイノベーションを起こした商品開発
であったと思います。

イスラムの女性がお祈りを行う前の清め(wudu)で発生する課題(清めを行うときには、
清めの水が身体に浸透するよう,マニキュア液を落とさなければならない)があり、
女性としてはやはり落としたくないという思いが潜在的には存在するであろうというのが
今回の商品開発のターゲットウォンツであったわけです。

この想定ウォンツを満たすマニキュアを開発したのが今回の商品開発です。

まあ、ここまでで言えば、何も特別なことはない、たまたまハラールとして
認められるものがこの商品セグメントで存在しなかっただけ、何もイノベーション
ではない、、、、、と思われるかもしれませんが、

この商品開発におけるイノベーションとは、そこにウォンツがあると想定したこと、
ラマダンという厳格な儀式に照準を合わせてきたことが自分には十分イノベーション
に想定すると考えているわけです。

それは、

「ステレオタイプなイスラム女性の捉え方を壊す」ことがこの商品開発のいたるところに
散見されるからです。

だって、イスラムの女性=肌を見せない、つつましい、一歩下がった、主張しないなどと
いったステレオタイプな考え方を破った見方をしたからこそ、

清めという厳格な場でも「ネイルを気にする」という発想にはいたれと自分は思うからです。

そして、極めつけは、清めの中でも、普段の生活の中の清めではなく、
ラマダンという特別な期間の清めをPRの場に選んだというところでしょうか。

普段の利用シーンならまだしも、このラマダンの清めの際に「ネイルを気にする」
なんてあり得ないと思うほうが普通だと思いますが、、、、、、、、敢えてこの
タイミングなわけです。

ネイルは気にする、でも身体を清めることを目的とするwuduではマニキュアなどの
付属物が身体の中への清めの水の浸透を阻害してしまうから、ネイルは落とそう、
ラマダンなんてそう思う女性が多いはずです。

だからこそ敢えてのラマダンだったのでしょう。恐らくマニキュアを塗った状態での
水の浸透率はかなりの技術的な改善があったと思いますし、その技術の進歩のPR、
清めでも使えるマニキュアというブランドポジションを確立する上でラマダンは
最高のタイミングだったと言えます。

日本の多くの方々は、イスラム教に属する消費者を「イスラム教徒」という最も
大きなグループで捉えるところがありますが非常に危険な考え方で、ある意味
とても失礼な考え方です。

まずは、イスラム教徒の理解も大切ですが、1人1人(イスラム消費者=ムスリム)
として彼らを見つめ、考え方、行動、購買嗜好、トレンドを理解してあげること
が大切です。

そうすれば、もっと違う彼らの一面、イスラム教徒そしての誇りを持ちつつも、
現代の社会、様々な分野の技術の進化の中で、変容する行動や価値観も見えてくるの
ではないでしょうか。

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