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これからの農業の方向性は生産性?循環性?

みなさん、こんにちわ。

最近いくつかの第一次産業向けセミナーやシンポジウムに参加しました。その所見をいくつかシェアしたいと思います。

◎これからの農業の進むべき道は生産性か循環性か?

スマート農業や大規模農業法人経営などがよく取り上げられるようになって久しくなりました。少子高齢化の影響をもろに受ける地方はまさに農業法人の主戦場で、多くの個人、法人の農家が規模の経済性をとるために農地を引受、大規模投資を行い、ITなどのツールを導入して農業という業界の生産性向上に寄与してきました。まだまだこれからも様々なスマート農業サービスが登場し、生産現場の効率性を上げ、より少人数でより大規模な営農を行っていくでしょう。生産性が上がる一方で従来の方法での規模拡大は困難な状況に直面しています。従来の方法とは、若手を雇用育成し属人的な農業経営を拡大すること、輸入原料を基につくった化成肥料や農薬等を大量に投入することによる人為的な増産と効率性の追求等です。20世紀に「みどりの革命」と言われる無機化合物(つまり肥料や農薬)を使用した近代農業の確立により、穀物類の生産は飛躍的に増加し人類の食糧増産確保に大きく貢献しました。しかしそれによる弊害も21世紀に入り顕著になっています。土地が痩せ、自然環境が破壊されることによる動植物の汚染や絶滅、生活環境の著しい変化による減少、さらには地球規模の自然災害へと間接直接的につながっており、私たち人類はこれまでの農法では持続可能な農業生産ができない状況に直面し始めています。

さらにその取り巻くマクロ環境の大きな変化の中で、少子高齢化による地方での労働人口の減少と若者の都心部への流通、地球温暖化による気象災害、円安やインフレーションによる輸入原料の高騰、突然、地政学的理由で原料が入らず、肥料の価格が2倍になったり、不安定な調達環境の問題が顕在化しています。

今後も生き残りを図る農業法人は改め自分たちの置かれているマクロ環境を俯瞰し、対策を講じていかなければなりません。

そのひとつが持続可能的農業を支えるための循環性です。最小の環境コストと代替置換コストを考えれば自分たちの地元や地域の資源を再利用または有効活用することによりコスト削減と同時に農業をするための自然環境の循環性を回復させ、維持することが有効な対策と考えれます。

大規模かつ資本主義的な効率重視のグローバルサプライチェーンから地場の未利用資源を活用したミクロサプライチェーンへの転換を図ることで環境コストを最小化し、持続可能な農業生産環境を築かなければなりません。

 

次回に続く

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