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第2回東北食農塾 開催!

皆様、あけましておめでとうございます。

本年も何卒宜しくお願い致します。

2020年はコロナの影響により、特に飲食業界またのその川上である食品加工や農業界が大打撃を受け、既存のパラダイムが通用しなくなり、需給だけではなく働く価値観や将来像が大きくシフトする年でありました。

お米の需要は、少子高齢化により毎年10万t前後失われていると危惧されていた2019年、翌年にコロナとそれによる緊急事態宣言、需要減少によって誰が24万tのお米の需要が失われると想像できたでしょう。

2020年出来秋の米価は2019年より10%以上値下がりし、年を明け2021年、令和3年産の生産計画がすでに始まっている中で、多くの生産者、食品製造業者が戦々恐々としています。

そのよう中で、本来は仙台市で集まって開催されるはずだった一般社団法人日本食農機構開催による東北の若手農業経営者を集めた勉強会がオンラインで開催されました。

20数名の参加者でしたが、それぞれが第一線で活躍し、意識の高い次世代の経営者が集まり農業、地域再生、経営戦略について熱い議論を交わしました。

その中で話題として上ったのが、東北の農業の中心であるコメ作りが打撃を受け、今後の展開をどうしていくかというとことと、今後の戦略についてです。

皆さん周知の事実として日本のお米総生産量は700万tをきり、10年前に比べ100万t近く生産量を落としています。毎年農林水産省が発表する年間需要量も減り続け、2020年8月期は200万tの在庫を抱え、翌月の新米米価は暴落しました。一般的に緊急事態の備蓄用米や流通の必要在庫量を踏まえ、200万tを超えるか、切るかが、新米の価格が上昇するか下落するかの分水嶺といわれています。過去3年程は200万tを切り、需給が逼迫し、米価の上昇につながりました。それが2020年はコロナ禍の中で、外食産業を中心とした大幅な需要減により適正在庫量の200万tを超え、また2020年の新米の豊作も相まって下落が加速したと考えれています。

 

米農家がしてみれば、せっかく豊作でいいお米が取れたのに安くなってはたまったものではないでしょう。逆に不作であまり出来が良くない年はお米が高くなるという市場需給に翻弄される農家のアイロニックな現実です。

 

市場に翻弄されるのか? それとも自分で道を切り開いていくのか? 

農業経営者の手腕が試されるときであり、いかにピンチをチャンスに変えていくことができるかが鍵となります。

 

幸いにも弊社にとっては2020年の生産と販売状況は悪くなく、むしろ好調でした。売上は2~3割減りましたが、営業利益は多く増加しました。これは2019年の段階で、販売先維持のための無理な仕入をやめ、自社生産分を拡大販売することによる営業利益の改善を目的とした戦略が功を奏したからだと思っています。また米価がまだ高かった2020年の1月に自社で生産する分のお米は全て販路と販売価格を決め、市場価格に左右されない販売体制を築いたことによる影響も大きいです。

これは私の経営に対する考えてとして、「大きく儲けるのではなく、大きく損をしない経営、小さく勝つ経営」が、この米価の下落状況で強みを発揮しているのだと思います。

経営者のプライドや見栄を捨てれば、大切なのは売上規模ではなく、残るキャッシャの大きさ、営業利益が何より大切であるのは明白です。本業で儲けてキャッシュを残す、補助金の波に弄ばれそうになる農業界で忘れてはならない経営の基本的考えですが、実践するのはやはり難しいのでしょう。

会社の経営戦略は、経営者個人の価値観、人生観に大きく左右されます。自分自身がどのような会社、事業を行っていきたいのか、明確なビジョンとそれに対するコミットメントが求められています。

 

2020年が順調だったからといって2021年がどうなるかはまだ分かりません。再度の緊急事態宣言がなされ飲食店の時短営業、休業の波は広がっています。川上に位置する農業、食品製造、加工業界も需要減少の影響は避けられません。

どのようにしてこのような難局を乗り切っていくのか? 今、経営者の真価が問われています。

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