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商品が良ければ売れるのか?①

~ 品質至上思考とマーケティング視点のずれ ~

「商品の品質が上がれば、消費者はその付加価値に対してプレミアム(高単価)を支払う」地方の食品メーカーの商品開発現場や、国や県の公共団体の補助金申請、要項などを見ているとそんな前提概念が垣間見えてくる。
国や自治体の「新しい商品、サービス開発に対して補助金を出すのでみなさん新しい商品を作ってください!」との音頭に「6次化産業商品」や「高付加価値」という言葉が商売の成功の鍵です!と言わんばかりに宣伝されている。無論商品開発に勤しみ、その中で「消費者ニーズ」を捉え売上を伸ばし成功している企業もある。しかし商品開発の9割以上は失敗に終わる。

商品の特徴を宣伝することはマーケティングPRの基本である。「無添加」「有機栽培の野菜を仕様」「こだわりの・・・」他商品との差別化を図り、プレミアム(高単価)を支払う根拠を消費者に一生懸命に説明しようとする。機能価値、情報価値、様々な付加価値を提示し、それを消費者に理解し、購入してもらおうとする。
この「差別化」「特徴」をマーケティング的に宣伝PRするための土台が「商品開発」である。商品自体に価値がなければ、宣伝PRをしたとしても打ち上げ花火で終わる。消費者からの信頼を勝ち得て、末永く愛され続けるためには商品の品質は「絶対」でなれけばならない。だが、この商品の「品質」という概念、言葉の意味は、生産者と消費者では大きくことなってくる。生産者目線での品質改善、向上はいつも消費者に理解され、受け入れられるわけではない。なぜだろうか?

消費者が受け取る商品・サービスの「品質」は生産者の品質訴求点(つまりPRポイント)ではなく、消費者自身の主観的かつ感受性による部分が大きいからだ。消費者は食品の専門家ではない。製造、生産過程を熟知しているわけではない。

消費者は自分たちの認知できる範囲で商品の品質を判断している。認知はその人の経験、知識に由来し、必ずしも論理的ではなく、情緒的、感性で受け取る部分も多い。

マーケティングは消費者を商品の品質に当てはめることではなく、消費者の認知に働きかけ商品を当てはめていく作業だ。

消費者に認知されない商品は売れない。消費者が認知できない価値は消費者は評価できない。よってそれに対する対価(プレミアム)を払うことも少なくなる。

食味検査95点のお米と90点のお米の違いを普通の人は認知できるだろうか?あなたがもしお米マイスターの資格を取ろうとするのなら必要であろう。だが一般の人はお米の評論家ではない。最高級の新潟南魚沼コシヒカリと他県の金賞を受賞したお米の違いを一般の人は違いを認知し、適切に評価できるだろうか?

もし「消費者はそんなことできない!」と生産側が感じるのならば、なぜそれを一所懸命、消費者にさせようとしているのだろうか?

次節に続く…

 

 

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